リスクマネジメントの実例

体験による実例をご紹介します。全て高額保険金支払い例です。この実例から種々のリスクをご参考にしてBCP対策を検討しましょう。

学校火災

電気製品使用中漏電失火、防火戸が全焼を防ぐ

古い歴史と多くの生徒を預かる学校の重大なリスクマネジメントをご紹介します。

2010年学校も夏休みに入った7月下旬の午前10時頃、九段下の名門専門学校から火災の通報を受けました。「職員室から出火し今消防署が現場検証を行っている。」との連絡でした。早速現場に急行、未だ煙のにおいが立ち込める校舎に駆け込みました。駆け付けた多くの関係者は、広場に様々な机や椅子等を山と積み重ね運んでいました。火元の職員室は無残な姿を晒し、校内の通路はどこも煤で汚損状態でした。

この事故は漏電火災ですが、一瞬の間に燃え広がりました。幸いにも夏休み中の事故でした。学校でもリスクマネジメントの構築が重要なことをご理解いただきたい思います。

 


(火災発生)

この日の午前8時15分職員が出勤、職員室中央に置かれた「湯沸かしポット」2台に同時にスイッチを入れ、8時20分室外に退室したところ「火事だ!!」との大声を聴く、粉末消火器で対処したが火力は増す一方、300㎡程の職員室内に火は瞬く間に燃え広がりました。8時35分消防隊が駆け付け、窓と隣室の壁を破り消火、鎮火しました。

床・天井・壁面・書棚・書籍類・プリンター室・書庫・電話設備・放送設備・コンピューター関係設備・机・椅子など収容設備機器等全焼となってしまいました。

復旧作業は急ピッチで進み、復旧完了まで夏休み中1か月間を要しました。

(火災の原因)

当該事故は、二股ソケットを使用し、2台の「湯沸かしポット」に同時にスイッチを入れたため、コンセントから漏電火災となったものです。周囲は書類関係で書棚が多く大きな損害となりました。

(損害の特記)

職員室入り口の廊下に防火戸が設置していました。感知器が作動し防火戸が作動し延焼を食い止めました。防火戸は職員室から離れていたため作動が遅れ、廊下付近は煙と煤で汚損しました。対面の事務局は急いでカウンターのシャッターを下ろし難を逃れました。消火時に煙は建物全体に回り天井・壁などを汚損したと思われます。

校内全体にわた汚損も火災保険の対象となり復旧費用が支払われたことは当然です。

学校火災の特記すべき項目は、職員室に設備機器類が集中していることです。

古本、書籍類も沢山あり、貴重な資料が焼失してしまい残念な結果となりました。十分な金額ではありませんでしたが、発行元、価格などを調査しできる限りの補償を実施しました。

又、職員・先生方60名ほどの私有物の賠償も行いました。先生各人から損害のあったものを申告していただき被害物数百点の賠償を行いました。先生方や関係者からの苦情もなく示談に応じていただき感謝しております。

夏休み中の事故なので学生の皆さんにはほとんど支障ありませんでしたが、関係者の方々には悔しい思いが残ったと思います。校長先生をはじめ全員が従前どおりの生活を取り戻すよう頑張っていただきたいと願うばかりでした。

 


工場火災

落雷で設備が全損となり保険で工場の再建を行う

雷と言えば森林火災、雷サージの威力は大変なリスクを伴っています。えっ!雷でと思われるかもしれませんが、私の経験した事故立会いから重大なリスクマネジメントがあった例ををご紹介します。

火災保険約款では、火災、落雷、破裂、爆発と第一条に補償内容が記載されています。


2007年3月30日 A社工場を雷サージが直撃、直ちに事故受けを行いS保険会社に通報、現地に向かいました。

A社工場の設備は全体的に古るく、数棟に分かれた工場内外各ラインは、別棟に中央コントロールセンターを設置し一元的にラインの操作を各操作盤に直結管理していました。各監視設備は一体型の機能をもつ近代的なシステムを構築していました。雷サージ事故は、主要なローカル設備の基盤まで侵入し機械そのものも使用不能乃至破損してしまいました。損害額の確定のためにシステムと設備の関係を調査しながら全体の損害把握に保険会社とのすり合わせを図ることとなりました。

全ての損害額の確定まで数カ月を要しました。

A社は、譲渡を受けたばかりの工場で、資産台帳には償却資産の記載が不十分でしたが、粛々と被害総額の把握が進みました。

私は、保険会社担当者と復旧見積明細から丹念に機器・器具に至るまでチェックし、復旧工事内容を詰めていきました。再三の打ち合わせ会議には、各業者と社長他役員も参加していただき、社長には自ら損害額の把握に協力していただきました。

システムエンジニアは、詳細なシステム解読に難航しました。システム設計者はすでに退職し再構築する人が少なかったからです。しかし復旧工事は徐々にでしたがライン毎完成に近づいて参りました。

保険金算定と支払は、工事完了箇所ごと行い、早期ライン復旧を目指しました。

資産内容の詳細確認が進み、補償額は適正であると判断され、工場の再起に必要な資金は保険金で全額補てんできることが判った時は、本当に安心しました。

復旧工事が完了したのは10月末、ようやくでしたが11月から工場は全ライン再開しました。

A社社長や当時立会った社員の方々から今でもお礼のお言葉をかけていただいています。

A社は、2006年10月に工場の譲渡を受け設立ほやほやの企業でした。もし、一部保険になっていた場合、工場再開の保険金の支払いが不足し、その時点でどんな展開が待っていたのかと思うとゾッとします。

この事案は、第一に社員の皆様型が工場再建のため総力結集し努力した成果ですが、積極的にご対応いただいたS保険会社担当課長、多くの建築設備業者、システム関係者の皆様にも心から感謝申し上げます。

A社は、リスクマネジメントの重要性を認識し、徹底的にリスクマネジメントを構築、リスクの洗い出しを行い、BCPマニュアル作成、BCP訓練などを定期的に実施しステークホルダーの信頼を得、上場を成し遂げ順調に進展しています。

 



雷リスクを考える


4つの侵入経路

①電源線から 近くの落雷によって配電線に雷サージが誘導される

②通信線や制御線から 外部引き込み線に雷サージが誘導される

③避雷針やアンテナから 避雷針の直撃による電磁界に誘導サージ発生するもの

近くの落雷時アンテナへの誘導により雷サージが侵入

④設置線から 設備の設置線から雷サージが侵入

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落雷被害を防ぐ方法
避雷器の設置だけで雷サージを防ぐことはできません。過去の落雷履歴を調査し、建物の立地、地域の周辺、設備の種類などに細かい対策が必要になってきます。専門の業者に相談し対策を検討する必要があります。
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台風災害

台風損害から再起したホテル

温暖化の影響で、台風は大型化し「猛烈な台風」が発生し日本列島にもに大きな被害を与えています。特に沖縄諸島は、台風街道で台風対策が欠かせません。オーシャンビューはリゾートホテルの目玉ですが、見晴らしの良いオーシャンビューガラス窓に、砂浜の砂混じりの海水風が60m/sで叩きつけてくる様を想像してください。どこのホテルも台風のあとは内も外も砂の建物、台風の報道と共に空港は人であふれ、台風の去った後はまるで静かなリゾート風景、復旧工事は、砂との戦いから始まりました。



2007年9月先島諸島(風速69.6m/s)に甚大な被害を与えた台風13号は、石垣島を経由し宮古島を巻き込こみました。925hpa瞬間風速50-69ⅿ/sは、宮古島日航ホテル屋上の貯水槽を吹き飛ばし、Aホテルにも半壊以上の損害をもたらした猛烈な台風でした。(石垣島のTホテルも立会いました。)

風速60m/sの台風では、砂嵐が壁面モルタルを剥がし、継ぎ目のシールまで破壊する風圧がありました。

事故報告を受け直ちに宮古島の現場に向かいましたが、もう既に夏は終わり海岸からは人影もなく、路肩のヤシの木はところどころ飛ばされ、被害の大きさを実感しました。

台風当日のホテルは、最後の客で賑わっていたようですが、台風13号接近の報道に、いつもより各所の戸締りを厳重にし、浜に面したレストランのオーシャンビュー全面ガラス窓には、板張りを打ち付けその上椅子やテーブルを置き万全な準備をして待ちました。朝方海は青く太陽に輝いていましたが、10時頃海のかなたに雲が湧き出て、急速に近づいてきました。台風襲来です。11時過ぎ瞬間的に砂交じりの海水が窓ガラスを叩き割り、ホテル内に侵入してきました。椅子、テーブルが飛び散り衝突し、ロビーから天井各所の窓等至る所砂だらけ、屋上の貯水槽も約10メートルほど飛ばされる等甚大な被害にあいました。更に瞬間風速60m/sの凄まじい砂交じりの海水を伴う風圧は、外部のモルタル壁面をめくれ上げ継ぎ目のシールを剥がし室内まで浸水してきたようです。電気設備、ボイラーなどあらゆる設備も機能不全となる損害を受けました。

屋外プールは砂で埋まり、トーテンポール、垣根などほとんどなくなり、大きなヤシの木がはるかかなた100mほどまで飛ばされていました。

被害は、建物設備の60%相当額に及びました。この時期、島の復旧作業は、建設業者の手配が困難になります。当該事案も長期工事となり営業損害も長くなりました。

当該事案は、当然営業損害を含め復旧費用全額支払われました。

この1号台風は、九州に上陸し多大な被害を与えました。死傷者も多く激甚災害の指定を受けた台風史上まれにみるものでした。

沖縄や離島のリゾートホテルは、開放的な建物仕様になるため台風に弱く1度の被害総額は甚大になります。温暖化の影響で年毎大型化する台風に耐えるため強度を更に増した建築資材を使用するなど建物強度の工夫が必要です。

 

企業保険では逸失利益を補てんする事業継続のための利益保険があります。飲食店・旅館業などサービス業に限らずあらゆる企業は事業継続のためリスクマネジメントを展開する必要があります。


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風水災履歴一覧表
自然災害は油断大敵です。台風は「猛烈な台風」となり、大雨風による大規模な災害を伴ってきます。局地的に突然低気圧が発生し台風並みの強風になったり、竜巻になったり、100mm/hの滝のような雨に見舞われることも近年多くなりました。近所の高台が団地になり、雨水処理が間に合わず降雨が川になり水害になるなど。水災頻度は高いので水災を補償する保険料も高くなります。家は大丈夫と思わないで漏れの無いような保険対策を立てましょう。
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全損火災

時価填補支払いとなった例

リスクマネジメントにおける火災保険は、新価価格を前提にしています。

2011年当時、私は、依頼を受けて某外資系ブローカー事故担当を引き受けていました。

大阪梅田の繁華街でスーパーマーケットから出火し、隣家のC社管理ビルに類焼し全焼とななった立会事案がありました。M社の企業火災保険は、新価契約に、復旧支払条項があり、保険金支払いは、復旧が前提になっていました。当時C社は、運悪く経営が悪化し危機状態で銀行管理下でした。そのため復旧の目途は立たず復旧をしないこととなりました。止む無く約款通り時価払いの承認をもらい再調達価格の60%程の支払となりました。非常事態とは言えC社担当者のご苦労はいかばかりであったか。数か月後C社は吸収合併されましたが、これが原因かは不明ですが。

 

今ご契約している保険の補償内容は、どのように付保しているかご存知ですか。リスクマネジメントを実践し保険の見直しを行い、リスクに堪える補償内容を検討する必要があります。

 


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大火災一履歴覧表
過去の大火災を一覧表にしました。(内閣府)
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パチンコ店の火災は漏電が多い

通常パチンコ店多くは人が利用する娯楽施設のため様々な事件が起きますが、大抵は腹いせにパチンコ玉で窓ガラスやドアガラスを弾き割る事故が多くあります。今日多くのパチンコ店は、警察との連携を強くして事故や事件には素早く対応しております。またパチンコ玉と精密機器・電気設備の組み合わせなので火と水にもめっぽう敏感になっています。

それだけ想定内外のリスクマネジメントの構築は、極めて重要になります。

電気設備点検中に起きた漏電火災の恐ろしさをご紹介します。


2008年11月ある時火災が発生したとの通報で現場に直行しました。

1階、2階は水浸しで窓ガラスが割れ、2階天井が抜けていました。一目で設備機器類は全損と判断出来ました。3階が従業員の寄宿舎になっています。ここも1部火が回ったようで使用不能な状態でした。

(火災の原因)

火災当日午前9時30分ごろから関東保安協会による電気設備の定期点検が行われていました。Aレーンの配線設備等点検を始めて間もなく10時頃Bレーン両替設備付近から煙が立ち上がりました。瞬く間にパチンコ台に延焼しました。お客は無事避難しました。原因はパチンコ台の配線から漏電による出火と判明しました。火は室内の装飾設備に引火し2Fに燃え広がっていきました。

消防消火により鎮火しましたが、玉は濡れると使用不可になりほぼ設備は全損となりました。

建物の躯体及びカーテンウォールは残りましたが1棟丸々何らかの対応が必要になりました。

保険金でほぼ建て替えることができ3か月後には営業再開となったようです。

パチンコ台の裏側は配線が込み合っていたことが漏電の原因とでした。