地震に直面した企業リスクマネジメントの実態

トップの決断が企業を救う

トヨタ自動車の地震BCP

1970年代に取り入れた「ジャスト・イン・タイム」方式は、不要な在庫を持たず、必要な時部品が届く生産体制で、世界中の自動車業界で有効な体制とされてきました。下段もっと詳しく・・・

サンスターのBCP健康道場

サンスターは社員の健康を企業活動として企業マネジメントし、2017年「健康優良法人」に認定された。下段もっと詳しく・・・

東芝の不正会計と原子力リスク

アメリカでの原発受注利益を見込み、2006年東芝が買収した米ウェスティングハウス社は6,200億円にも及ぶと言われる巨額減損を発生しました。下段もっと詳しく・・・

東日本大震災石巻赤十字病院のBCP

地震リスクのマネジメントは、近年の大地震発生と被害から「過去の経験から学ぶ」ことを強く理解し地震BCP対策を行うようになったようです。下段もっと詳しく・・・

 

大王製紙経営トップの特別背任行為

日経新聞2011年1月22日に「王子製紙前会長を告発」の記事がトップを飾りました。下段もっと詳しく・・・



BCPの事例

サンスターのリスクマネジメント

サンスター心身健康道場ー健康優良法人

http://jp.sunstar.com/company/cmgallery/page_01.html

サンスター広告ギャラリー「歯周病リスクから健康を守る」

サンスターは社員の健康を企業活動経営指標としてマネジメントを展開しています。2017年その経営活動は、「健康優良法人」の認定を受けることになりました。創業者金田社長は、糖尿病により急逝(50歳)、2代目博夫会長も糖尿病を患うなどから、1985年人間ドックと同等の内科検診・歯科検診を行う「サンスター心身健康道場」設立しました。「社員の健康が事業の発展につながる」という長期的観点から、健康こそ企業価値を高めるとの経営方針に転換し、「社員の健康が事業の発展につながる」との社員意識を社内に浸透させてきました。

サンスターは、「口内ケアが健康の原点になる」との重要性を訴え、製品の開発に努めています。

歯周病と健康との関連

1、糖尿病

2.心患症

3.早産・低体重児出産

4.誤嚥性肺炎(ゴエンセイハイエン)

5.骨粗しょう症

口内ケアを行うことが、健康を維持・向上させる健康の原点になるとの企業マネジメントを展開しています。

 

経営者リスク

東芝の不正会計と原子力リスク

2015年5月不正会計調査のため第3者委員会(弁護士、公認会計士総勢99名)が発足、聞き取り調査の結果、利益操作に経営陣が関与したとして2,248億円の利益修正が行われ、西田、佐々木、田中歴代社長が辞任しました。(週刊東洋経済)

アメリカでの原発受注利益を見込み、2006年東芝が買収した米ウェスティングハウス社は6,200億円にも及ぶと言われる巨額減損を発生しました。2017年問題の解決は先延ばしになっています。2015年期営業赤字7,191億円発生東芝史上最悪の事態になり上場廃止の予想されています。

2011年3月11日の東日本大震災における福島第一原子力発電所の被害は、アメリカに原子力リスクをもたらしました。利益最優先の企業経営は、原子力リスクを軽視し、リスクマネジメント不在となり重大な損害を与えることとなりました。

この事件は、企業の最大のリスクは経営者リスクにあるということを証明しました。

 

経営トップによる特別背任行為

大王製紙ファミリー企業の不正

大王製紙は、王子製紙グループ、日本製紙グループに次ぐ国内第3位の製紙会社です。日経新聞2011年1月22日に「王子製紙前会長を告発」の記事がトップを飾りました。3代目井川意高社長は堅実に業績を伸ばしトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどで国内シェアー第1位を占めるに至っていました。事件はカジノ賭博の穴埋めに連結子会社7社から個人宛に80億8千万円を振り込ませたもので、善管注意義務違反、注意義務違反に問われ実刑判決を受けたものです。

 

当該事件はファミリー企業の社長ワンマン経営から生じたもので、絶対服従・内部規制無視のワンマン経営からは、会社は機能しないことを証明しました。

因みに2011年3月期のトーマツ監査法人の監査は財務諸表及び内部統制監査を適正としていました。その結果監査法人は何も見ていなかったことになります。

リスクマネジメントでは、経営倫理に基き社会正義を遵守する経営者のみが適正となります。ファミリー企業の場合は、ソーシャルリスクの一因としてカウントする必要があります。

 

熊本地震の教訓

2016年4月14日熊本・阿蘇地域を襲った「熊本大地震」は、震度7を記録し、東日本大地震に次ぐ大きな被害を出しました。損害保険協会の支払保険金は、1810億円に達し、東日本大震災の保険金1兆2654億円に次ぐものでした。内閣府の調査を要約し各事業経営者にご案内します。

(内閣府熊本地震の調査報告概要)

 

東日本大震災における企業が実践した地震BCP

東日本大震災で企業が直面した主なハザード

1.従業員の安否確認困難

2.帰宅困難者が大量に発生

3.原発事故に伴う避難指示、屋内退去指示

4.被災地の産地風評被害

5.計画停電による生産制限

6.電力の使用制限、燃料や資材の不足

7.サプライチェーンの寸断

 

トヨタ自動車の地震BCP

ジャスト・イン・タイムの修正

1970年代に取り入れた「ジャスト・イン・タイム」方式は、不要な在庫を持たず、必要な時部品が届く生産体制で、世界中の自動車業界で有効な体制とされてきました。

・阪神大震災では、神戸製鋼、住友電気工業が被災し自動車メーカー9社が4万台の減産となった。この反省のもとジャスト・イン・タイムを修正し数社に部品を発注することとしました。

 

ダウンロード
日産自動車における地震保険対策(日産におけるリスク管理の状況について-抜粋)
日産自動車は、リスクマネジメントを構築しアセスマネジメントを徹底しました。地震BCPマニュアルを策定し訓練を計画的に実施した結果、東日本大震災では避難場所の提供など逸早く再建し地域の支援に貢献しました。
日産自動車のリスクマネジメント.pdf
PDFファイル 2.5 MB

石巻赤十字病院のリスクマネジメント

地震リスクのマネジメントは、近年の大地震発生と被害から「過去の経験から学ぶ」ことを強く理解し地震BCP対策を行うようになったようです。

 

石巻赤十字病院の飯沼院長は、石巻市内で唯一津波の被害を免れた病院です。

震度7の地震に耐え、津波40mは北上川を遡上し大きな被害を与えたが、この地震津波から守り、地域の被災者支援ができた原因と対策は次の通りです。

 

(東日本大震災から免れた理由)

飯沼院長は、過去の北上川の氾濫と浸水の歴史から「想定以上のことが起きる」と確信し、地震・浸水BCPを次の通り実行しました。その結果地震と津波の被害を免れ、また地域の被災者の支援を行うことができました。

(対策)

①病院の新築時高台に移し、基礎は、3メートルの盛土をしました。

②新築病院は、免震構造にし、地下室に支援物資を保管するヤードを造りました。

③災害時、待合室は治療スペースになると考え設計しました。

④大規模災害に備え、医師・看護婦・勤務社員全員が計画的に研修・訓練を行い、更にへリコプターによる実施訓練も行いました。

(大震災時の対応)

①大震災発生4分後に緊急対策本部を設置、トリアージを行いました。

②直ちに被災者の治療と避難者の支援を行おました。

 

トップの決断と地震BCPがいかに重要かを実例でご紹介しました。